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歯周炎とインプラント周囲炎

著者:Dr. Stefan Fickl (ステファン・フィッケル)

スウェーデンで開発された最先端の殺菌および歯垢・歯石除去技術!!

歯周病とインプラント周囲炎

歯周炎及びインプラント周囲炎は細菌感染によって引き起こされる炎症であり、歯の支持組織またはインプラント周辺の組織(結合組織及び骨)の大部分が、すでに不可逆的に破壊されている状態を呈している。

両疾患の臨床症状は類似しており、プロービング時の出血、発赤、腫張、化膿及び4mm以上のプロービングの深により定義される。インプラント周囲炎の場合のインプラント体は動揺してしない。

両疾患は細菌プラーク、すなわち病源体を多く含むバイオフィルムにより発症し、このバイオフィルムの構成が部分的治療に対しての高い耐性を明らかに決定づけている。両疾患の経過は類似している。まず歯周の、またはインプラント周辺の軟組織が炎症し、更にその経過において硬組織の吸収プロセスが始まる(Page 1997,Jung 2008,Heitz-Mayfield 2010)。

とくに深い歯周ポケットまたはインプラント周辺の深いポケットは構造上病原性バイオフィルムの形成に有利に働く。健康な歯と比較するとインプラントの方がはるかに炎症傾向にある。さらにインプラント周辺の粘膜の炎症は激しく、それに続くインプラント周辺の骨組織への移行は歯周炎の場合よりも早い(Davis 2003,Sclar 2009)。

治療コンセプト

歯周治療とは対照的にインプラント周囲炎治療のための比較できる有効な治療コンセプトが今までは存在しなかった。基本的に両疾患に対して同様の治療工程が行われおり、初期の非外科的治療段階ではバイオフィルムの減少及び制御を目的とする。口腔衛生向上のための患者への教育指導並びに意識向上と共に抗菌剤を使用する、または使用しない非外科的デブライドメントが行われる。インプラント周辺の治療の場合は治療箇所への付着を容易にするために上部構造の調整や取り外しなどが行われる。(Heitz-Mayfield 2014)

プロービングの増加及びポケットの複雑さにより、従来の純機械的なデブライドメントでは成功率は減少する。(Dragoo et al.1992, Rabbani et al.1981,Stambaugh et al.1981)。臨床的に深いポケットは長期的に持続、または機械的治療後に再発する。これらの理由から支援療法及び必要に応じた抗菌薬のアジュバント投薬が支持される。周囲組織の欠損の進行が非外科的治療で達成できない場合、外科的治療法が選択される。(Al-Shammari2002)

インプラント周囲炎の治療では、歯周病治療のときよりも明らかに多くの外科的治療が行われる(Schmidlin 2012)。とくに、インプラント周囲炎の初期治療の成功のためには、粘性骨膜弁による歯肉・骨欠損部分の的確な処置、および、一般的に複数の洗浄剤および抗菌薬の使用によるコンビネーション治療により汚染されたインプラント表面の徹底的な洗浄が行われる。さらに欠損の幾何学的形状に応じてインプラント周囲の骨欠損の安定のために骨の再生処置による適正な手法が用いられる(Heitz-Mayfield 2014)。

ペリソルブの特徴

本稿では次亜塩素酸(HOCL)ベースの局所的殺菌薬であるペリソルブ(PerisolvR : 図?)を用いたアジュバント除菌について報告する。ペリソルブは、HOCL溶液およびアミノ酸溶液から構成される二成分製剤である。使用前に両法の製剤は混合される。このとき、HOCL及びアミノ酸により短命ないわゆるクロラミン(NCA)が活性物質類をして発生する。

図? スウェーデンで開発された歯周治療用薬剤「ペリソルブ」

NCAは、ヒトの通常の免疫システムにおいて主要な役割を果たす高度な生理的化合物である(Klebanoff 1968,McRipley 1967,Weiss 1989)。この製剤は明確な抗菌効果を示し(Eick 2015)、またインプラント表面に存在するバイオフィルムに対しても同様の効果を発揮する(Bach 2016)。溶解除去作用により歯根またはインプラントの表面洗浄効果が向上される(Becker 2015,Bach 2016,Gottardi 2010,Bergkvist 2016)

ペリソルブのこれらの特徴および組織への親和性により、本剤の複数回にわたる使用が推進される。洗浄効果向上のため、歯根またはインプラント表面の洗浄前の投与、ポケットの追加でデブライドメントのためのスケーリング治療後の使用が考えられる。

症例1:歯周炎への応用

患者は82歳の女性である。5年以上前の慢性歯周炎の治療は成功したが、それ以来定期的にビュルツブルグ大学の歯周治療科および保存歯科右上3の頬側に4~5mm程のプロービングによる深いポケットが確認された。ポケットには部分的な炎症症状(図?)が確認された。

図? 処置前。右上3近心頬側面に深いポケットが確認される

図? 2つのペリソルブ製剤の混合。10~15回混合する

図? ペリソルブの注入。ポケット内を製剤で満たす

図? 6か月後の評価。炎症所見はなく、ポケットの深さもあきらかに減少している

歯根表面の機械的洗浄後、深い歯周ポケット内にペリソルブが注入された。手順は以下のとおりである。

次亜塩素溶液およびアミノ酸溶液が入った2本のシリンジを互いにねじ止めし(Luer-Lock)ピストン棒を交互に押すことにより完全に混合される(図?)。すべての内容物は透明のシリンジに混入され、注入のために治療部位に必要に応じて先端が鈍なチップを装着する(付属されている柔軟な人口樹脂チップ、または任意の先端が鈍な金属カニューレ)。注入用注射器はLuer-Lock接続を有するため完全な互換性を示す。混合された製剤も総量は8~10箇所の深い歯周ポケットの治療に十分な量である。

注入用チップは歯周ポケットの底まで投入される。歯周ポケットが完全に満たされると同時にチップを引くことにより製剤注入は完了する(図?)。6か月後に再評価が行われた。この時点での女性患者はなんらの症状も訴えていなかった。歯右上3のプロービング値3mmとなり、あきらかに改善がみられた。また、出血も確認されなかった(図?)

症例2:インプラント周囲炎への応用

患者は62歳の女性である。ビュルツブルグ大学病院の歯周治療科を受診し、インプラント周囲の軽い鈍い痛みを訴えた。左下6のインプラント周囲組織の炎症および軽い退縮を示していた。さらにプロービングでは8mmに及ぶ深いポケットがあり、出血も確認された(図?)。同部のX線所見では著しい骨吸収を示した(図?)。診断の結果はインプラント周囲炎であり、外科的治療が選択された。治療の目的は、歯周ポケットの拡大を食い止め、また同部インプラントの状態を改善するために感染領域のデブライドメントを行うことである。すでに存在する骨吸収部への新たな骨形成は行わなかった。このような、頬側に歯周ポケット有するたらい状の骨吸収の再構成は難しいことが知られている。GBRテクニックを用いて歯周組織再生療法を試みるのは予後のリスクが高く、失敗した際、場合によっては更なる組織吸収に繋がり、左下6のインプラント脱落へと繋がる可能性すらある。

図?は病巣を確認するために粘膜骨膜弁が外科的に展開されている。十分な治療領域を得るために左下4~6の歯槽頂切開が行われ、粘膜欠損部はインプラントより歯槽頂および頬側方向へと引き離される。垂直開放切開は必要なかった。まず、露出したねじ山からキュレットを用いて汚染部および不良肉芽を取り除く。インプラントの周りにはたらい形状の大きな骨欠損が確認された。

図? 処置前。左下6インプラントの露出したねじ山の後退およびあきらかな炎症所見がみられる。プロービングにより頬側の8㎜に及ぶ深いポケットを確認

図? 処置前。左下6インプラントの近心および遠心に骨吸収がみられる

図? 外科的展開および病巣部の状態。たらい状の骨欠損が認められる

図? 1回目のペリソルブ注入

図? インプラントのねじ山には肉眼で確認できる組織残は付着していない

図? 2回目のペリソルブ注入

更なる表面洗浄及び1回目のデブライドメントのため、インプラント表面および骨損失部にペリソルブが注入された(図?)。短い作用時間の後、インプラント表面はジェット水装置で処置される。この処置後、インプラントねじ上には肉眼で確認できる肉芽は残っていなかった。(図?)

デブライドメントをより確実にするためにペリソルブの2回目の注入が実行された(図?)。創部縫合は、減張切開をせずに結紮縫合または二重結紮縫合により達成される(図?)。患者には1日3回の0.2%クロルヘキシジン含嗽薬が処方され、また創跡への外的損傷を避けるよう指示した。手術から7日後に抜糸が行われた。治癒過程は問題なく経過した。外科的治療から1年後の術野評価では左下6インプラント周囲の軟組織の状態は安定していた。少しの歯肉退縮が認められたものも、インプラント周辺の組織の炎症は完全に治癒していた。プロービング時にも炎症なしの状態が確認され、出血もなかった。また、術前に比較してプロービング値も減少していた(図?)。X線所見においても左下6インプラント周囲骨の骨はほぼ安定し、治療開始時と比較して、近心および遠心部高径において骨吸収の改善が認められた(図?)。

図? 粘膜骨膜弁閉鎖後の状態

図? 1年後の術野評価。安定した軟組織の状態、少しの肉芽退縮が認められるが、出血は確認されず、頬側の安定した骨状態も確認できた

図? 左下6インプラント周囲の骨の状態は安定していて、骨吸収が改善されている

最後に

歯周およびインプラント周囲の維持療法において、ペリソルブはアジュバント除菌効果があり、次亜塩素酸ベースのクロラミン(NCA)は高い除菌効果を示すとともに、組織への高い親和性を有する。更に、効果的な治療の基本条件である歯周ポケットまたはインプラント表面の洗浄が、感染および退化した組織への明らかな有用性が認められた。

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